「着物が好き、着てみたい」という方は着物屋のアンケートで八割を超えるそうです。けれども実際着物を着る方は一割程度という統計結果が出ています。
着物を着てみたい、と思っても実際には着ない理由は何でしょうか?「着方がむずかしい」「お手入れが大変」「動きづらい」といったあたりでしょうか。
昔の日本人はそんなことに疑問や不満を抱くことなどなく着物を普段から着ていました。着物に変わるものがなかったから不便さや大変さも「当たり前のこと」として捉えていた。そういうこともあるでしょう。
着物は昔の服ではなく、今もさまざまな場面で着用されています。日本に古くから伝わる儀式や行事、伝統芸能といった文化と深くかかわりがあります。今回は今も見られるいろいろな着物姿(和服姿)について見てみましょう。
七五三
成人式
黒五つ紋付羽織袴の新郎と引き振袖を着た新婦
女性が結婚式で着る和服は、引き振袖以外にも種類があります。またの機会にご紹介します。
京都時代祭り
画像出典:時代祭/京都市観光協会
京都府で10月22日におこなわれる時代祭。日本の8つの時代を再現した衣装を身につけた人々が行列で歩いていきます。
三社祭
画像出典:浅草神社奉賛会/三社祭公式情報動画
東京都の三社祭(5月)。日本各地でおこなわれる祭では、法被やゆかたなどさまざまな和服姿の人が見られます。
お祭りの浴衣姿
夏の縁日、花火大会、盆踊りなどでは、浴衣姿で楽しむ方が多く見られます。
阿波踊り
8月中旬におこなわれる徳島県の阿波踊り。参加者は和服衣装を身につけて踊ります。
日本の武道
剣道や柔道などで身につけるユニフォームは和服がベースとなっています。
琴を演奏する女性
琴や三味線など、日本古来の楽器である「和楽器」を演奏する際には着物が欠かせません。
大相撲の力士
力士は外出の際、和服を着ます。番付によって着ることのできる和服の種類が異なります。番付が下のときは浴衣と裸足に「下駄」のみ。昇進すると浴衣以外の着物や羽織、下駄なども着用できるようになります。
茶道
日本の伝統文化の茶道は、洋服を着ておこなうこともできます。正式な服装は和服である着物です。
僧侶
寺院のお坊さんは「法衣(ほうえ)」と呼ばれる装束(しょうぞく)を着ます。
神主、巫女
神社の神主さんや巫女さんは特別な装束を身につけています。
歌舞伎
歌舞伎では演目ごとに個性的な人物が登場します。役柄に応じて豪華絢爛な着物から町人の粋な着物まで、さまざまな衣装が登場します。
落語
画像出典:落語-Wikipedia
落語では1つの演目に登場する様々な役を1人で演じます。それぞれの役をじゃませず、観客の想像力をかき立てるようなシンプルな和服を着ておこないます。
着物は日本の伝統文化
幕末から明治の時代に西洋の衣服=「洋服」が日本に入ってくるようになりました。楽に着られる洋服が日本に入ってきたことでそれまで着ていた和服(着物)が洋服に変わっていきました。けれども、着物が完全に日本から姿を消すことはありませんでした。長く日本人が日常的に着ていたことで根付いた、日本の伝統的な文化のひとつだからです。