お客様からいただいた男物の能登上布(のとじょうふ)を女物に仕立て直しました。
能登上布は麻独特の通気性の良さ、軽さ、サラリとした肌触りがあります。細やかな絣(かすり)模様が特徴。
帯地はからむし織。からむしは、イラクサ科の多年草で、苧麻(ちょま)とも言われます。
昔ながらの機織り作業(地機による手織り)により作られた帯には、吉岡常雄氏による手描き「桂林山水甲天下」柄が描かれています。
これは母が吉岡氏からいただいた思い出深い帯。吉岡氏が富山に来たとき母は手作りのおにぎりを差し入れ、感激された氏からプレゼントされました。母は今もよくこの帯を締めます。
「帝王紫」と呼ばれる貝紫の染料を使い描かれた帯
古くから高貴な色とされる紫。中でもここに使われた染料、帝王紫は紀元前1600年から続く染色法です。わずか1gの染料を採るために2000個もの貝を必要とする、希少価値の高い天然染料です。吉岡氏は貝紫の研究を長年続けられ、その先駆者でした。